2024年10月21日 IT導入補助金の不正受給を会計検査院が指摘したとの報道がありました。
今回は緊急でこのニュースをご紹介したいと思います。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE201B10Q4A021C2000000/
ニュースの概要
会計検査院は2020年度から22年度までに補助金の給付があった315の事業主体(企業や自治体)による383事業を調査。
このうち41の事業主体が実施した55事業(補助金換算で約1億4755万円)で、適切でない交付があったとのことです。
適切でない交付は大別して3パターン。
(1) 実質的還元などによる不正
(2) 虚偽申請などによる不正
(3) 導入したITツールを全て解約していたケース
(1) 実質的還元などによる不正
ITツールの導入と前後して、ソフトウェアメーカーやベンダーなどの導入支援事業者やその関係会社から協賛金や実態を伴わない紹介料などの名目で還流を受け、自己負担額を実質的に減額・無償にしたり、利益を得たりしたパターンです。
中には、自身で行うべき交付申請などの手続きを支援事業者など第三者に任せていた例もあったようです。
30の事業主体による41事業(補助金換算で1億812万円)で確認したということです。
※実質的還流の図解(「サービス等生産性向上IT導入支援事業の実施状況について」 報告のポイントから引用)
このケースは「事業主体が単独で企図して行ったものではなく、
その多くは、IT導入支援事業者やその関係会社からの『自己負担のない方法によりITツールを導入できる』『自己負担額を上回る報酬を得ることができる』などの働きかけを契機として行われた」ということです。
(2) 虚偽申請などによる不正
補助の対象となるITツールを導入した、あるいは運用を開始したという虚偽の報告による不正を確認しています。
8の事業主体による11事業(補助金換算約2800万円)で見られたということです。
(3) 導入したITツールを全て解約していたケース
導入したITツールを全て短期で解約していたパターンです。
補助金の交付規定では、導入先が1年未満でITツールを使わなくなった場合、交付の一部や全部を取り消せる決まりでした。
また、導入後3年間で賃上げを達成するなどの条件で補助上限を引き上げる代わりに、達成できなかった場合には補助金の一部または全部を返還する制度を使ったにもかかわらず、短期で解約していた例もあったようです。
3つの事業主体による3事業(補助金換算約1094万円)で確認したそうです。
当てはまる企業・自治体と、不当な補助金の金額、それを支援した事業者のリストも公開されています。
(1)~(3)どのパターンだったかもリスト化されています。
他にも、67事業主体が実施した88事業(補助金換算約2億5352万円)が(1)に当てはまる疑いがあるということです。
会計検査院は不正が起きた背景について「関与した導入支援事業者において本来の制度の枠組みを逸脱して事業主体に対して不正を働きかけていたことなどにもよるが、事業主体において補助事業の適正な執行に対する認識が著しく欠けるなどしていた」「中小企業庁及び経済産業本省において、事業主体が実際に多数の不正を行っていたにもかかわらず、(補助金事業を支援した)サービスデザイン推進協議会および機構に対する指導、助言などが十分でなかったことなどによる」と指摘しています。
中小企業基盤整備機構に対して「実質的還元などによる不正を行っていた30事業主体から過大に交付された補助金を速やかに返還させる手続を行わせること、また、実質的還元と同様の資金の流れなどが見受けられた67事業主体についてのさらなる調査などを行わせて、不正が判明した場合には速やかに補助金返還の措置および不正に関与したIT導入支援事業者の登録取り消しなどを行わせること」といった対応を求めるとしています。
おわりに
会計検査院は2020年度~23年度に支給決定した対象の一部を調べ、今回の指摘を行ったようです。
追加調査の件もありましたがこれだけ大きく報じられているので、恐らく全件調査に近い調査が行われるのではないでしょうか。
当然2024年度も調査が行われると思います。
現在IT導入補助金のホームページには、受領した補助金の自主返還を求めています。
安易な気持ちで不正受給に関わってしまうと、後々取返しのつかないことになってしまいます。
補助金申請する場合は、今一度のご検討をお願い致します。
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