いわゆる節税対策については、数多くの手法が存在します。
ここでは、いくつかご紹介したいと思います。
しかし、無駄に税金を払う必要はないと思いますが、過度な節税は脱税に該当する可能性もあります。
また、会社の資金繰りを悪化させる恐れもあるため、注意が必要です。
決算及び法人税の形式
会社は1年に一度決算があり、
その都度売り上げや経費を集計して、一年間でどれくらいの利益が出ているのかを計算する必要があります。
(ちなみに法人の場合、決算期は自由に設定することができ、
3月や12月といった一般的な決算期以外にも6月や9月といった形で自由に設定することができます。)
一年間の成績簿といった意味合いです。
一年に一度決算が行われ、その業績(利益)に応じて、法人税という税金が課されます。
法人税は国税及び地方税(県、市)が存在し、まとめて法人税等といわれるのが一般的です。
また、おおむね利益の25%~30%程度と覚えておくと利益の金額に対してどれくらいの税金が課されるのかのイメージができるので
最低でも30%程度は税金でとられるということは覚えておく必要があります。
節税の必要性について
決算は一年に一度行われ、その都度利益に応じて法人税等が課されますが、
例えば、2年合計でみると利益が出ていなくても、1年ごとでみると利益が出ており、税金が発生する可能性があります。
例えば、
1年目の利益 → 300万円
2年目の利益 → △300万円
2年合計 → 0万円
この場合1年目については、300万円利益が出ているため、30%の税率として90万円の納税が発生します。
一方2年目は△300万円の赤字であるため、税金が課されません。
すると、2年合計でみると利益はゼロであるため、法人税は課されませんが、1年ごとの合計でみると90万円の納税が発生してしまいます。
こういった場合に、2年目の経費を1年目の経費とすることができれば、税金を減らすことが可能となります。
これが「節税」を行う理由です。
※2年目の△300万円の赤字は青色申告の届け出を提出しておけば、今であれば10年間繰り越すことができます。
※「欠損金の繰戻しによる還付」制度というものもあり、前期において黒字で法人税を納付した法人が、経営悪化などで今期赤字になってしまった場合、
前期に納付した法人税の還付を請求することができます。
節税の方法
節税については、大きく分けると3つの方法があり
1,収益(売上等)となっているものを翌期以降に繰り延べる
2、経費を多く計上する
3,特別控除といった制度を活用し、税金を減らす
などが、存在しますが、一般的には「2、経費を多く計上する」方法が対策としては、考えられます。
いずれの方法を使うにしても、しっかりとした専門家の活用が必須となりますので、注意が必要です。
節税の種類
ここから説明する方法は、「2、経費を多く計上する」に該当するものになります。
〇役員報酬の見直し
頑張って利益が出るようになったのですから、自身の役員報酬を見直す方法が考えられます。役員報酬は一般的に定期同額といわれ、
1年間は変動させることはできませんが、決算後の株主総会などによって、翌年度の役員報酬を変更することは可能です。
当年度の利益に影響を与えることはできませんが、今後も継続的に利益が出ることが想定される場合は、変更することが可能です。
※ただし、役員報酬を変更すると、それにかかわる社会保険料なども増額されるため、会社から出ていくお金が増える点には注意が必要です。
〇10万円未満の消耗品や30万円未満の少額資産などを購入する
税務上は10万円未満の消耗品については、「消耗品費」として経費計上することが可能です。
そのため、翌月などに使用することが見込まれる物などについては、事前に購入して経費とすることが可能です。
また、中小企業の場合は、30万円未満の少額資産についても300万円までは当期に経費計上することが可能であるため(少額資産の特例)、
こういった少し高額な資産を購入することも可能です。
例えば、少しスペックの高いパソコンなどがこれに該当します。
〇20万円未満の少額資産(一括償却資産)を購入する
上記の特例以外に、10万円以上20万円未満の少額資産を購入した場合、一括償却資産として、3年間で償却することが可能です。
※上記の30万円未満の少額資産の特例との違いは、一括償却資産の場合、3年間で償却することが可能であるのに対して、
30万未満の少額資産の特例であれば、その期に全額費用とすることができます。
一方で、一括償却資産の場合には、償却資産税の対象資産とならないものの、
30万円未満の少額資産の特例の場合には、償却資産税の対象資産となる点には、注意が必要です。
〇家賃の一年分を一括支払いする
本来であれば、来期以降に対応する月数分については、「前払費用」として取り扱われ、その部分については、経費として
取り扱われませんが、家賃を一年分前払いすると「短期前払費用」として、1年分を経費として取り扱うことが可能です。
この支払方法の場合、
例えば、「当年度分 1か月、翌年度 11か月」 であっても、12か月分を当年度の経費として取り扱うことが可能となります。
※この支払方法を利用したとしても初年度のみ効果が出ますが、翌年度以降は12か月分までしか経費として取り扱うことができない点に注意が必要です。
一回限りの方法になります。
〇生命保険の活用
節税方法としてとても普及している方法ですが、生命保険を活用して、税金を減らす方法もあります。
個人で生命保険を支払う場合には、生命保険料控除として昔でいえば10万円、今でいうと12万円までしか控除の対象となりませんが、
法人の場合には、金額の上限はありません。
会社によって必要な保険の金額はさまざまだからです。
個人で多額の生命保険に加入している場合などについては、法人での契約に変更することで、個人の最終手取額(可処分所得)を増やすことが
可能になります。
※生命保険に関わる税務上の取り扱いは非常に複雑であるため、保険会社や税理士等の専門家のアドバイスが必須となります。
〇出張旅費規程の見直し(規程の作成)
出張の多い会社であれば、出張旅費規程を作成している場合も多くあります。
移動手段や宿泊先、日当などの取り扱いを社内で作成しておけば、規定通りの支払いかたをすれば経費として認めてもらうことができます。
※ただし、常識の範囲内で規定を定めていることが前提であり、規程を作れば何でも経費として取り扱うことができるわけではないので、
この点は、社労士などの専門家の活用が必要となります。
〇決算書の貸借対照表に計上されている資産の確認
例えば、すでに捨ててしまっている資産がそのまま貸借対照表に計上されている場合であれば、除却の処理を行うことで、
経費として取り扱うことが可能です。
歴史のある会社であれば、すでに倒産してしまったゴルフ会員権や契約解除したはずの生命保険に関わる保険積立金が計上されたままになっている場合
資産の多い会社であれば、壊れて捨ててしまった機械等(減価償却資産)をそのまま計上している場合などが多く存在します。
一定程度経過している法人であれば、過去の清算ができていない場合が存在しますが、歴史の浅い会社であればそれほど存在しないケースが多いです。
〇倒産防止共済などの国の制度の活用
倒産防止共済(セーフティー共済)は、自身の会社経営が健全でも、「取引先の倒産」という事態はいつ起こるかわかりません。経営セーフティ共済は、そのような不測の事態に直面された中小企業の方々が、必要となる事業資金を速やかに借入れできる共済制度です。
この制度を利用すれば、年間240万円まで支払った額を経費として取り扱うことが可能です。
上限が、800万円までであるため、240万円の掛け金を一年間で支払う場合には、3年程度分までしか計上することはできませんが、
いざというときに活用することができるため、まだ活用していない場合には、活用を検討したほうが良いといえます。
※業種や従業員数などに制限があるため、会社が利用することができるかどうかは事前に確認しておくことが必要です。
(まとめ)節税の必要性
簡単に節税の方法を記載しましたが、節税については、そのほかにも複数の方法があります。
また、節税として利益を減らしたい金額によっても、節税の手法は大きく変わります。
飛行機、船、コンテナなども節税の手法として高額な利益を減らす方法として考えられます。
ただし、節税はあくまでも払いすぎることになる税金を減らすための手法です。
過度な節税は会社の事業継続事態を悪化させることにつながりかねないため、弊社では推奨していません。
会社の成長を推し進めるために必要な節税を検討する必要があるといえます。
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