法人が保有している暗号資産への課税が一部緩和されました
2023年(令和5年)税制改正では、暗号資産関連の税制の見直しも盛り込まれました。
その中でも「法人が保有している暗号資産への課税の一部緩和」については、法人で暗号資産を保有している方にとっては気になるポイントだと思われます。
しかし、結果を先にお伝えすると、ほとんどの暗号資産を保有する法人には影響がない改正となっております。以下説明となります。
改正のポイント
・法人が期末において有する暗号資産のうち一定の要件に該当するものは、期末時価評価課税の対象外とされます。
・法人が暗号資産交換事業者以外の者から借り入れた暗号資産の譲渡をした場合において、期末までにその買戻しをしていないときは、期末において買戻したものとみなして損益相当額を計上することになります。
一定の要件に該当する暗号資産の期末評価額
現行の税制では法人が期末時点で暗号資産を保有していた場合、含み益があれば、実現されているものとみなして課税します。
これを期末評価課税と言います。
まだ実際には売却はしていませんが、いつでもその時点の時価で売却できる状態だから、期末時の時価で利益が実現しているものと考えて計算しましょう、という考え方に基づいています。
そして、暗号資産はその保有目的に関わらず、期末時価評価が必要とされています。
これにより暗号資産を自ら発行し保有する法人についても同様に時価評価を求められる恐れがあるため、日本から暗号資産を開発・発行しようとする会社が海外に流出しているということが問題となっておりました。
令和5年度改正では以下の改正が予定されることとなりました。
1.法人が事業年度末において有する暗号資産のうち時価評価により評価損益を計上するものの範囲から、次の要件に該当する暗号資産を除外する。
(1)自己が発行した暗号資産でその発行の時から継続して保有しているものであること。
(2)その暗号資産の発行の時から継続して次のいずれかにより譲渡制限が行われているものであること。
①他の者に移転することができないようにする技術的措置がとられいること。
②一定の要件を満たす信託の信託財産としていること。
2.自己が発行した暗号資産について、その取得価額を発行に要した費用の額とする。
ほとんどの法人は暗号資産を交換所等で購入しているだけで、自己で発行していないので上記の改正の適用は無いものと思われます。
法人が暗号資産交換事業者以外の者から借り入れた暗号資産の譲渡をした場合において、期末までにその買戻しをしていない時の損益額
現行の税制では、法人が暗号資産交換業者以外の者からから借入をした暗号資産は期末評価損益の計上は不要とされていました。
今回の改正で、法人が、暗号資産交換業者以外の者から借り入れた暗号資産の譲渡をした場合に、
その譲渡をした日の属する事業年度終了の時までにおいてその暗号資産と種類を同じくする暗号資産の買戻しをしていないときは、
期末においてその暗号資産を買い戻したものとみなして損益を計上することとされました。
これまで、借り入れた暗号資産については売却損益を計算する際の取得原価の算定が不明確でした。
今回その取得原価が「期末時に買い戻したと仮定した場合の時価」に明確化され、損益計算がスムーズに行えるようになったと言えます。
但し、詳細は確定していませんので、今後、法令等により明らかにされる予定です。
国税庁HPにて法人が所有する暗号資産の期末時価評価について公表されております。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/230120/pdf/01.pdf
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