酒類の製造免許
最近、お客様からお酒を製造して販売したいという相談がありました。
そういえば、地ビール(クラフトビール)、地ワインなど、小さい規模で個性のあるお酒をつくるところが増えているように思います。
但し、自分で酒を製造して販売する場合は酒税法で定められている酒類の製造免許が必要になります。
そこで今回は、酒類の製造免許についてまとめてみました。
酒類の免許
酒類を製造しようとする場合には、酒類製造免許が必要です。
これは、酒税法に基づくもので、製造しようとする酒類の品目別・製造場ごとに、税務署に申請します。
但し、酒類製造免許をとった製造場で、自分で製造したお酒を販売するときは、酒類販売業免許を取る必要はありません。
酒類とは
改めて、「酒類」の定義からみていきましょう。
酒税法で定義されている「酒類」(よみ:シュルイ、サケルイ)とは、アルコール分1度(1%)以上の飲料をいいます。
薄めてアルコール分1度以上の飲料とすることができるものや、溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含みます。
酒税法上の「酒類」から除かれるもの
・明らかに飲用以外の用途に使用されると認められるもの(アルコール事業法の適用を受けるもの)
・アルコール含有医薬品・医薬部外品など(医薬品医療機器等法の規定に基づくもの)
種類と品目
種類
酒類は、発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類の4つに分類されています。
品目
酒類の品目は全部で17に分類されています。この17品目は、上の4種類のいずれかに属しています。
酒類の17品目それぞれについては以下の通りです。
参考:国税庁 酒税法における種類の分類及び定義、(独法)酒類総合研究所、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行規則
免許が不要なケース
酒類の製造といっても、家で梅酒やカリン酒をつくって、家族らと飲むといったケースはあると思います。
そのような場合は、酒類製造免許は必要ありません。
酒類製造免許申請要件など
酒類製造免許を受けるためには、品目ごとに最低製造数量基準以上であることや、拒否要件に該当しないことが求められます。
最低製造数量基準
製造免許を受けた後1年間の製造見込数量が一定の数量に達しているかどうかの「最低製造数量基準」は、酒税法第7条第2項に記されています。
例えば、清酒やビールは60キロリットル、果実酒やリキュールは6キロリットルと定められており、1年間でこれ以上の量を製造する必要があります。
欠格要件
欠格要件(該当してはいけない要件)には、人的要件、場所的要件、経営基礎要件、需給調整要件、技術・設備要件の5つに分類されます。
人的要件(抜粋)
・酒税法の免許又はアルコール事業法の許可を取り消された日から3年を経過していない場合
・法人の免許取消し等前1年内にその法人の業務執行役員であった者で、当該取消処分の日から3年を経過していない場合、ほか
場所的要件
正当な理由なく取締り上不適当と認められる場所に製造場を設置する場合
(酒類の製造場又は販売場、酒場、料理店等と同一の場所等)
経営基礎要件
経営の基礎が薄弱であると認められる場合
(国税・地方税の滞納、銀行取引停止処分、繰越損失の資本金超過、酒類の適正な販売管理体制の構築が明らかでない等)
需給調整要件
酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため免許を与えることが適当でないと認められる場合
技術・設備要件
酒類の製造について必要な技術的能力を備えていないと認められる場合又は製造場の設置が不十分と認められる場合
申請方法など
製造しようとする酒類の品目別・製造場ごとに、その製造場の所在地を管轄する税務署に申請します。
酒類製造免許の登録免許税は、15万円(1品目あたり)です。
申請書を税務署に提出してから審査が終了するまでは、2~3か月程度かかるようです。
まとめ
今回は、酒類製造免許を紹介いたしました。
➀酒類を製造しようとする場合には、酒類製造免許が必要です。製造しようとする酒類の品目別・製造場ごとに、税務署に申請します。
➁酒類製造免許を受けるためには、品目ごとに最低製造数量基準以上であること、および、欠格要件に該当しないことが求められます。
➂申請書を税務署に提出してから審査が終了するまでは、2~3か月かかるようですので、余裕をもった準備が必要です。
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