交際費の非課税の上限が5千円から1万円へ

はじめに

2024年税制改正で、交際費から除外できる5,000円基準が見直される見込みです。

今回は、交際費の非課税上限の増額のニュース及び現状の交際費について取り上げてみました。

 

2024年税制改正大綱

政府と与党は、企業が取引先との接待などに使用する交際費のうち、税法上経費扱いとして非課税にできる「1人あたり5千円以下」の飲食費について、上限を「1万円」に引き上げる方針を確定しました。

物価上昇で飲食費が高騰しており、今の水準では不十分との声が寄せられており、与党の税制調査会での議論を経て、今月中旬に税制改正大綱に反映される見通しです。

参考:日経新聞「交際費、非課税上限1万円 政府・与党、法人向け倍増」

 

税法上、交際費は原則として損金不算入ですが、2006年度の税制改正により1人あたり5千円以下の飲食費は例外とされ、損金算入が認められました。

法人税は益金から損金を差し引いた金額に税率をかけて計算されるため、企業にとって損金算入ができると税負担が軽減されます。

中小企業向けには、800万円までは損金算入できる特例も存在します。

 

1990年代初頭には約6兆円だった企業の交際費が、近年では約3兆円まで半減しています。

上限引き上げの狙いとしては、中小企業と大企業の間の取引の促進、コロナ禍でダメージを受けた飲食産業の活性化などが挙げられます。

与党幹部からは「企業が飲食費を使えば経済もまわっていく」との意見も寄せられています。

 

また、日本商工会議所は、社内規定などで1人あたり5千円以下としている企業が多いことから、「税制が法人の飲食需要の拡大に制約をかけている」として、上限の引き上げを要望していました。

 

接待交際費とは

接待交際費とは「交際費、接待費、機密費その他費用で、得意先、仕入れ先その他事業に関連のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用」です。

 

5,000円基準とは

クライアント企業との会食にかかる費用は、基本的には接待交際費のなかでも接待飲食費に該当します。

クライアント企業だけではなく、仕入先や取引先といった事業に関係のある企業との会食費用であれば、接待飲食費に該当するでしょう。

 

この接待飲食費の1人当たりの費用が5,000円以下の場合は、接待交際費にも接待飲食費にも該当しません。

たとえば、取引先の社員3名、自社の社員7名の合計10名で会食を行い、合計金額が40,000円だった場合、1人当たりの費用は4,000円であるため接待飲食費には当たらず、会議費などとして処理できます。

合計金額が70,000円である場合は、1人当たりの費用は7,000円であるため接待飲食費に該当します。

 

ただし、接待交際費から除外するためには、会食の日付、参加企業や参加者、参加人数や合計金額などを明記した領収書を保存しておく必要があります。

領収書がない場合は、接待交際費となってしまう可能性もあるため注意が必要です。

 

最後に

政府・与党は、新型コロナウィルス禍の後、接待需要は落ち込んだままであるため、取引先との飲食などをしやすくして消費を押し上げる効果期待しているようです。

但し、上限が1万円に上がっても、参加企業や参加者等の内容の明記・保存は今までどおりであると思われます。

引き続き、正しい記帳・書類の保存を心がけましょう。

 

 

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