はじめに
2023年11月に成立した「令和5年度補正予算」を受けて、1,000億円の予算のもと中小企業省力化投資補助事業が実施されることが決まりました。
中小企業省力化投資補助金では、人手不足に悩む中小企業の売上拡大や生産性向上を後押しする支援が行われます。
今回は、中小企業省力化投資補助金の補助上限額や対象者、公募スケジュールについて解説します。
なお、これから公募が始まる補助金のため、補助要件などについては今後補助対象となる事業者の実情を踏まえて変更となることもあります。
※中小企業省力化投資補助金HP https://shoryokuka.smrj.go.jp/
中小企業省力化投資補助金とは
中小企業省力化投資補助金とは、人手不足に悩む中小企業が売上拡大や生産性向上に取り組むことを後押しするための補助金事業です。
対象となるのは、IoTやロボットなどの製品を取り入れる際の経費の一部で、賃上げに同時に取り組むことで最大1,500万円の補助金を受けることができます。
中小企業が利用できる補助金事業には「IT導入補助金」や「小規模事業者持続化補助金」、「ものづくり補助金」など複数ありますが、これまで人手不足の課題解決に特化した補助金はありませんでした。
この補助金は、人手不足の解消や生産性の向上につながる「省人化を図れるロボットや設備への投資を後押しする」ことを目的として導入されました。
中小企業省力化投資補助金の補助額・補助率
中小企業省力化投資補助金の補助額は従業員に応じて以下の通り定められています。
中小企業省力化投資補助金では、従業員の人数によって補助金の上限額が定められており、21人以上の従業員がいる企業では最大1,000万円の補助金を受けることができます。
例えば、従業員15人の企業が生産性向上のために500万円の産業用ロボットを取り入れた場合、補助率は1/2となるため最大250万円まで補助金を受けられる仕組みです。
さらに大幅な賃上げを行う従業員21名以上企業に対しては、最大1,500万円の補助金が交付されます。とはいえ大幅な賃上げはどの程度を指すのでしょうか。
大幅な賃上げの基準について
大幅な賃上げの基準は以下の2つの条件が定められています。
上記の2つを申請時に宣言することで、「大幅な賃上げ」として上限額が引上げられます。
ただし、申請する前にあらかじめ、従業員にも賃上げする計画を表明しておかなければいけません。万が一従業員に表明していない場合は補助金の返還が求められるため注意が必要です。
中小企業省力化投資補助金の対象者
中小企業省力化投資補助金の対象者は以下の2つの条件を満たした中小企業や小規模事業者とされています。
人手不足に関しては客観的に示す証憑を提示するか、人手不足が経営課題となっている旨を申告することが必要とされています。
また、付加価値額に関しては、事業終了後で従業員1人あたり、年平均3%以上の増加が見込める事業計画を策定する必要があります。
なお、付加価値額とは「営業利益+人件費+減価償却費」によって算出されるものを指します。
中小企業省力化投資補助金の申請要件
中小企業省力化投資補助金は対象者に該当するだけでなく、以下の要件を満たした事業計画書等の策定が必要です。
➀ 労働生産性の向上目標を設定し、その実現に向けて取り組むこと
➁ 賃上げの目標を設定し、実現に向けて取り組むこと
➂ 導入を契機として、従業員の解雇を積極的に行わない
➃ 人手不足の状態にあることが確認できること
➄ 全ての従業員の賃金が最低賃金をこえていること
事業計画書においては、企業の生産性向上、賃上げ、人手不足の解消などについて、具体的な数字を用いて説明することが求められます。
中小企業省力化投資補助金の対象経費
中小企業省力化投資補助金の対象経費は、カタログに掲載されているIoTやロボット等の人手不足の解消につながる設備の中から選定し、その導入費用が該当します。
業種別に整理すると、以下ような機器が補助対象になります。
IoTやAIロボットなどの技術が発展し、どの業種にも自動化や無人化が進んでいます。それらの導入経費が対象となります。
対象機器の購入はカタログに記載されている代理店を通じて行い、補助金の交付申請も購入代理店やメーカーと共同して行います。
そのため、カタログに掲載されてない製品は補助対象外となりますので注意しましょう。
中小企業省力化投資補助金の申請の流れ
中小企業省力化投資補助金の申請の流れは以下の画像のとおりです。
はじめに、カタログから導入製品選びを行わなければいけません。
カタログに掲載されてない製品は補助対象外となりますので注意しましょう。
また対象機器の購入は代理店を通じて行い、申請も代理店及びメーカーと共同して行います。
申請をした後は1か月ほど審査が行われ、交付の決定がされます。
中小企業省力化投資補助金の申請方法
中小企業省力化投資補助金申請は、以下の手順で進めます。
イ.gBizlDの取得
法人・個人事業主向け共通認証システムである「GビズID | Home 」にて、gBizlDの取得を行います。
発行に日数を要します。申請をご検討の場合は、すぐに取得することをおすすめします。
ロ.カタログから製品の選定
省力化製品販売事業者と一緒にカタログから製品の選定を行います。補助金の交付申請も購入代理店やメーカーと共同して行います。
ハ.交付申請
販売事業者と共同して交付申請を行います。
交付申請は申請受付が開始した段階で中小企業省力化投資補助金のホームページから行えます。
二.交付決定
申請後は中小機構による審査を経て、交付が決定されます。
決定後は申請受付システムで採択の通知を受け取ります。
ホ.補助金交付手続き
交付決定の後は、12か月の補助事業期間を得て、実績報告を行い、補助金額が交付されます。
また補助事業終了後、毎年4月〜6月までに効果報告を5年間行います。
期限までに効果報告が提出されなかった場合、交付決定を取り消すことがあるため注意が必要です。
中小企業省力化投資補助金の公募スケジュール
執筆時点で、まだ申請受付は開始していません。
しかし、4月30日に製品カタログが更新されましたので、まもなく受付が開始するものと思われます。
全体では、令和8年度9月末までに15回の公募が実施される予定です。
逆算すると、2か月に1回程度の頻度で募集されると想定できます。
中小企業省力化投資補助金の事務局ホームページで確認をお願い致します。
最後に
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業がIoTやロボットを導入することを支援する補助金です。
人材不足を懸念している企業だけでなく、IoTによる生産性の向上などを目的にしている企業にもおすすめです。
今後ますます需要が高まる補助金ですので、公募回を重ねる度に要件が厳しくなることも予想されます。
申請を予定している方はできるだけ早いタイミングで申請されることが肝要と思われます。
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