低解約返戻金型保険等の取扱いについて(2021年4月28日)

国税局が、低解約返戻金型保険等の名義変更時の所得税の評価の見直し案を公表しました。

 

先日ブログでも書きましたが、(経営者向け保険の税務ルールの見直し(2021年3月17日))

法人財産の個人移転として活用していた低解約返戻保険の取扱いが変更されることになります。

 

現在では、保険契約等を名義変更をした場合はその時点での「解約返戻金額」で評価がされます。

しかし、低解約返戻金型保険などの著しく解約返戻金の額が低い保険契約については

「解約返戻金額」で評価することは適当ではないと考えられ、「資産計上額」で評価することになります。

 

対象となる保険の種類は、

・「低解約返戻金型保険」のうち、解約返戻金が資産計上額の70%未満のもの

もしくは、

・「復旧することのできる払済保険」…解約返戻金と資産計上額の割合にかかわらず適用される

です。

また今後は、解約返戻率の低い定期保険等や養老保険なども見直しが検討されるようです。

 

ちなみに、この見直しは法人の決算期にかかわらず2021年7月1日以後の名義変更に適用されます。

対象の保険契約等は、2019年7月8日以後に契約が締結したものです。

また、その日以前に締結された保険契約には、原則現行の評価方法が適用されます。

 

この見直しが適用されると、

名義変更をして保険を受け取る際に役員は、

名義変更時の評価額が大きくなることで、名義変更時に法人に多額の金銭を支払わなければならなくなります。

また、保険解約時に所得税削減の恩恵が受けられる金額が少なくなってしまいます。

一方法人は、

保険契約のを譲渡するときの価値である「解約返戻金」と「資産評価額」の差額分だけ譲渡損失を計上できていたところ、

改正後はどちらも「資産評価額」となるため、譲渡損益が生じなくなってしまいます。

また、名義変更が無償で行われる場合には、損金不算入かつ源泉徴収が必要となります。

 

このように、実質当初予定していた節税効果が得られなくなってしまいます。

現在加入している保険などについて、今後のことも踏まえた上で再検討する必要が出てくるでしょう。

 

節税商品と言えば、「生命保険」と思われていましたが、2019年の改正、今回の2021年の改正によって、

保険商品は、本来の「保障」をメインとしたものになっていくと思われます。

(とはいえ、こういったものはいたちごっこですので、またなにか違ったもので節税商品がでてくるんでしょうね。)

 

 

 

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