法人化するのは、いつがいいか?(2022年4月)

法人化するのは、いつがいいか?

個人事業をされている方から必ず聞かれる質問ですので、一度ブログで整理しておこうかと思います。

また、本件に関しては、独自の見解が含まれるため、画一的なものでないことにご留意ください。

 

法人化を検討するにあたって

法人化を検討するにあたっては、複数の角度から検討が必要となります。

今回は、①税率の観点 ②社会保険加入の観点 ③消費税の観点 で話をさせて頂ければと思います。

最低限度知っておくべき論点かと思います。

 

①税率の観点

大きな論点としては、個人の所得税法人の法人税の税率に関して乖離が生じることが挙げられます。

 

〇個人の場合、所得に応じて税率が増加していく「超過累進税率」と言うものが採用されております。

 

「所得税の税率」+下記以外に住民税が一律10%加算

 

そのため最高税率は住民税を合わせると55%となります。

 

〇一方、法人税に関しては、一律(中小法人の軽減措置あり)となります。

「法人税の税率」

課税される所得金額 法人税率
800万円以下 15%
800万円超

23.20%

 

 

 

 

 

法人税の場合、住民税、事業税等のその他の地方税との兼ね合いもあり、税率(実効税率)が非常に複雑化していますので、

今回は法人税率は30%と仮定して話を進めます。

(実効税率については、後日ブログを上げたいと思います。非常にややこしいです。)

 

法人税率は30%と仮定した場合

上記を前提とすると、単純比較して、所得が695万円を超えると所得税+住民税が33%となるため、

税率ベースでいえば、法人化を進めた方が税金上のメリットがありそうですが、ぎりぎりのラインだと数年後に税率が下がる可能性もありますので、

さらに上の900万円を超えるようなときに、法人化を実質的に進めるのがよいのではないかと感じます。

(将来計画なども十分に加味する必要があります。法人は一度設立してしまうと簡単にはなくすことができないので、注意が必要です。)

 

②社会保険加入の観点

社会保険に関しては、実務上は5人以下の従業員の個人事業主であれば、入っていないケースが多くあります。

一方、法人の場合には、加入が義務化されることとなるため、従来個人事業の場合に加入させていなかった場合には、

法人化することで一気に負担が大きく感じるものと考えられます。

社会保険のことについて、法人成りする際に検討できていなかったということで、法人成り後に急な保険負担を感じる法人さんも多くいらっしゃるかと思います。

(法人成りの際には、必ずセットとなるためご注意ください。)

詳しくは、社労士にお問い合わせください。

 

おおむね会社負担に関しては、10-15%程度と言われており、会社は給与以外に15%上乗せした金額を1名採用すると負担することとなります。

(大きいですね。)

 

また、忘れてはいけないのは、事業主(個人事業でいえば、代表。法人になると代表取締役(社長))も加入が必要となる点です。

そのため、法人化させると社長も社会保険の加入者となります。

 

③消費税の観点

法人成りすると消費税の課税事業者が2年間免除されるという話があります。

ウソではありませんが、注意が必要になる可能性がありますので、記載させていただきます。

 

(1)売上高が2,000万を超えるような法人(または給与支払額2,000万)

特定期間による特例というものがあり、設立後6か月で売り上げ1,000万超、給与支払い1,000万超の法人については、翌年から消費税の納税義務者となるため

実質的に、1年しか免税事業者となることができません。

(この点、1年目の事業年度が1年以内の場合には別途取り扱いがあるため、注意が必要です。)

そのため、2年免税とならない可能性もありますので、ご注意ください。

 

(2)インボイス制度について

これにより、取引先によっては、免税事業者の選択をしづらい状況が生じる可能性があります。

(インボイス制度については、こちらを参照ください。)

 

④その他

法人化については、社会的信頼性の向上や節税の観点など複数検討すべき事項があるため、一概に言えませんが、

検討する論点が多く存在するため、各人によって本当に法人化してよいのかどうかについては、見解が異なります。

 

 

まとめ

法人化をした後に相談いただき、「社会保険のことは聞いていなかった。」であったり、「消費税は2年免除になると聞いていた」と言われる機会があります。

そのあたりは専門家にしっかりと相談したうえで、判断する必要があり、法人化してしまった後に検討する事項ではないように感じます。

(説明が漏れている側もリスクを聞きそびれる側も悪いように感じます。)

 

税金の観点のみだけではなく、その他の論点についてもメリットとデメリットをしっかりと認識したうえで検討していただければと思います。

 

 

 

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