社会福祉法人というだけで、法人税の申告が必要ないということではありません。
実は結構な数の法人で法人税の申告漏れが発生しているように感じます。
社会福祉法人は完全に法人税が非課税というわけではなく、法人税法上は収益事業課税と言われており、
法人税法上の収益事業に該当する部分については、法人税の申告が必要です。
誤解のないよう説明したいのですが、赤字であれば申告しなくて良いというわけではありません。
収益事業を行っていれば申告が必要です。この収益事業課税という言葉が非常に厄介な言葉となります。
まず、社会福祉法人の会計体系は特殊で、
・資金収支計算書(ざっくりキャッシュフロー計算書)
・事業活動計算書(ざっくり損益計算書)
・貸借対照表
からなっています。
この中で利益を計算する資料はもちろん、事業活動計算書なんですが、
この事業活動計算書については社会福祉事業、公益事業、収益事業からできています。
この辺りで社会福祉法人に関与のない方はもう嫌になってくることだと思います。
さらに拠点別などの話もありますが、今回は割愛します。
先ほど話に出た、事業活動計算書の収益事業ですが、この収益事業と法人税法上の収益事業が必ずしもイコールとならないという点が非常に厄介です。
事業活動計算書の収益事業であっても法人税法の収益事業に該当しないケースもあり得ますし、また、事業活動計算書の公益事業であっても、
法人税法上の収益事業に該当するということもあり得ます。
同じ収益事業という言葉であっても、根拠となる法律が違うので、同じものを指しているわけではないということです。
よくあるケースとして、社会福祉法人にこの話をすると、うちは収益事業をやってないので法人税の申告はありません。という話が出てくるのですが、
それは必ずしも正解ではありません。
先ほどお話ししたように、事業活動計算書の公益事業であっても、法人税法上の収益事業に該当するケースがあるからです。
たとえば、有料老人ホームなどの経営がこのケースに該当します。
ただでさえ、免税法人と思われている社会福祉法人が法人税の申告をしていなかったとなるとなんと言われるか分かりません。
一部の社会福祉法人の行動で、全体としてイメージがつきかけている現状には、とても残念に思いますが、
社会になければならないサービスを提供している法人として、知らなかった。とならないようにしっかり確認いただきたいです。
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